エチオピアコーヒーセミナーに参加してきたお話の続きです。(前編はこちら)
コーヒーセレモニーが日本の野点にそっくりで驚いた、というお話を前回したのですが、そのほかにもエチオピアと日本には似ているところがたくさんありました。挨拶の時にお辞儀をしたり、目上の人に敬意を払い敬語を使ったり。
遠いのに似ている国エチオピアですが、現在おかれている経済的な状況は日本と異なり、世界中でも最も貧しい国のひとつ。
コーヒー豆の生産地はアップダウンが激しい地形であることも原因ではありますが、ほとんど車は入らず、輸送の手段はロバや人。
コーヒー豆の生産に関しても、その20%が森の中で採れるフォレストコーヒー、35%が若干整備した森で採れるセミフォレストコーヒー、さらに35%が農家の庭先で採れるガーデンコーヒー、残りのわずか10%がコーヒー畑で採れるプランテーションコーヒー。
畑以外の場所で育っているコーヒーノキには、肥料を与えたり農薬を散布することは物理的に無理であり、エチオピア政府も推奨していないそう。したがって生産量の90%はオーガニック。
すべてのコーヒー豆は農家さんのハンドピッキングにより集められています。
さらに驚くべきは貴重な外貨獲得資源であるはずのコーヒー豆のうち65%がエチオピア国内で消費されていること。
伝統的なコーヒーセレモニーにも象徴されていますが、エチオピアの人々が、コーヒーを飲むという習慣・文化をいかに大切にされているかがうかがえます。
国を取り巻く状況などを考えたとき、外貨に換えることができるのに、敢えてそれをせず、自国の文化や暮らしに誇りをもって大切にされている。昔の日本に似ているのかも…?
ほんとうの豊かさとはどんなものなのか、考える機会をいただきました。
店主はセミナー参加前からなんとなく「エチオピアはコーヒー豆の原産地だし、コーヒーノキの生育に向いている場所だから、肥料や農薬が無くても、そこらじゅうにコーヒーノキが生えていて、それを採って豆にされているのかな」なんて呑気に思っていましたが、まさにその通り。
店主がイメージしていたのは単に牧歌的な光景でしたが、それはエチオピアのみなさんの「豊かさ」を象徴する光景だったのだと感じました。